コラム

2008/8

10000時間

10000時間

オリンピック選手の活躍を見ていると天賦の才能があるとしか思えないが、メダルを取った後の各選手に関する取材記事を読むとその努力のすごさに驚かされる。腹筋をしながら本を読んだソフトボールの選手は毎日どのくらいの時間腹筋をやっているのだろうか?

「生物と無生物のあいだ」の著者福岡伸一さんが、日経新聞にプロフェッショナルになった人たちは10000時間を共有しているという調査結果があると紹介していた。ある時からそのことに集中して努力する時間が1万時間である。1日に3時間なら1年で約1千時間、したがって10年で1万時間となる。1日9時間なら3年半。石の上にも3年という諺に結びつく。

若い時には気がつかなかったが、ひとつのことにコツコツと不断の努力をしてきた人がそのことの専門家として評価されるようになるのを30歳位になって知った。専門家として評価されるといろいろの相談、依頼からさらに情報が増え一層専門家となる。ひとつのことを極めると切り口が確立しているためか専門外のことについても有用な意見を述べることができるようになる。

一方、器用貧乏という言葉がある。何事にもきちんと適切にこなすし、頼りになるのでいろいろの仕事を任される。大体人柄が良いのですべて引き受けてしまう。その結果相撲でいえば型が完成しないので横綱にはなれない。

自分には1万時間かけたものがあるだろうか。マージャンは1万時間かけているが、20年はかかっているので一流になれないのは当然。若い時にひとつのことにもっと集中しておけばと反省しても後の祭り。オリンピックは無理だが60歳過ぎても遅くはない。10年後、20年後を夢見て前向きにこれから1万時間かけることを決めよう。

日本経済研究所はPFI、PPPに尽力してきたことによりこの世界の専門家集団として評価されている。この優位性をさらに活かすと共に次の新しい分野での1万時間を付け加えてゆきたいものである。

大川 澄人
日本経済研究所 理事長


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