コラム

2009/2

福岡を想いつつ

福岡を想いつつ

「地域づくり」「地域振興」「地域再生」など様々な言葉で地域活性化の必要性が説かれるようになって久しい。地域活性化が意味するもの、つまり何を目標とするのかということについては、様々な考え方がある。定住者の増加を目指すというのも1つの考え方ではあるが、日本全体が人口減少へと向かっている現状では非現実的である。そんななかで「観光」に着目し、「観光客数の増加」を目標として打ち立てている地域が多いように感じている。

確かに地域活性化に成功した事例の中には、「観光客数が前年比○○%増」という文言で成功が語られている場合が少なくない。しかしながら、「観光客数の増加」という目標を達成することが、地域の活性化につながるとは必ずしも言えないのではないだろうか。1度きりの観光客が増えたとしても、(ひと時は、地域は賑わい活性化するだろうが…)観光客の減少とともに再び地域の賑わいは減少していくだろう。増やさなければならないのは、「一度きりの観光客」ではなく、地域の交流人口、例えば地域のサポーターであり、住民ではないがその地域に深い思い入れや関わりのある人である(敢えて「リピーター」という言葉を使用しなかったのは「繰り返す人」ではなく、その地域に対するある想いを持ち、地域と関わる人々を指したかったからである)。

地域のサポーターには様々な人がいる。例えば、その地域の伝統工芸品やその背景にある歴史(ストーリー)そして職人技に魅せられた人、地域に伝わるお祭りの時期になると胸がざわつく人、地域で採れる旬の食材や郷土料理の味が忘れられない人、地域が持つ雰囲気が忘れられない人…

そんなことを考えていると、無意識に思い浮かぶのが故郷である福岡である。福岡を離れてみて初めて、東京に多くの福岡サポーターが居ることを知った。博多祇園山笠の時期になると、福岡勤務時代に山を舁いた感動が忘れられず、例年駆けつけているという人。中洲の屋台で博多弁に囲まれて飲むことが楽しくて、福岡出張は同僚に譲れないと言ってくれる人。太宰府天満宮のお神酒(境内で採れた梅を使った梅酒)が好きで九州に行った際は必ず立寄りますと言ってくれる人。そんな話を耳にする度に、なぜか少し照れくさくて、とても誇らしい気持ちになるものである。

地域を訪れた人に対し、普段の生活とかけ離れた「おもてなし」をするのではなく、地域が大切にしているものを「おすそわけ」すること、つまり地域の人々とそこを訪れた人々が交流し、時間や場所、思い、食などを共有すること、そうやってサポーターが生まれていくのではないだろうか。 私もシンクタンクの一員として、地域を元気にしたい、活性化させたいと努力している人々とともに、その地域のサポーターとなり、またさらにサポーターを増やすべく努力していきたいものである。

森木 笑美
調査局
専門:官民連携、地域振興


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