コラム

2009/10

企業の社会的責任と雇用維持を考える

企業の社会的責任と雇用維持を考える

失業率が過去最高を記録した。今年はじめから派遣切りは大きな社会問題として取り上げられている。CSR活動をアピールし、立派な社会環境報告書を作成している大手企業が率先して派遣切りを実行した。

派遣労働等のような柔軟な労働形態が長期的には国や企業にとってプラスであるかどうかという議論はおくとして、単純に派遣きりのような行動は多くの人が疑問に感じるところである。企業は社会に対して最低限、自社の取りうる方向性や全体の戦略をわかりやすく説明することが必要であろう。

2000年代前半に戦後最長の好景気を享受した企業は、それを支えた非正規の職員に対し、不況に入ったとたんに掌をかえしたように極端な対応に出た。環境問題では義務の範囲を超え、長期的な観点で真剣に取り組んでいると宣言している企業が雇用問題ではまったく異なる態度を取る結果となった。

企業に対しては4半期開示やROA重視等、短期的な収益向上の圧力が強まっている。こうした環境であるからこそ、企業として短期的な収益だけにとらわれない、長期的な戦略に立ち、ステークホルダーとの信頼感を持ち続けることが一層大切になってきていると思う。

野田 健太郎
調査局
専門:リスクマネジメント他


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