コラム

2010/11

今日の学校給食

日本の学校給食は、1889(明治22)年、山形県鶴岡町(現・鶴岡市)の私立小学校で、貧しい家庭の子どもを対象に、昼食としておにぎりと漬物、焼き魚などが無料で振る舞われたのが始まりと言われています。

揚げパン、カレー、ソフト麺・・・。皆さんが、給食でいちばん好きだったメニューは何でしたか?給食は1日の学校生活の中で最も楽しみな時間だった、という方も多いのではないでしょうか。
今では給食に懐かしさを感じる大人をターゲットとして、給食をコンセプトとしたメニューを提供する外食チェーン店もあり、多くの人にとって、給食は学校生活を思い出すキーワードの一つともいえるものです。

学校給食法が1954(昭和29)年に制定されてから56年。文部科学省の2008(平成20)年度の「学校給食実施状況調査の結果」によると、全国の公立学校のうち、「学校給食」を実施した割合は小学校で99.7%、中学校で91.0%に上っています。

1990年代には、給食にかかる行政コストの問題や、「親の手による弁当を食べることで親子のコミュニケーションにつながる」として、学校給食を不要とする論議が全国的な広がりを見せたこともありましたが、近年児童生徒の食生活の乱れや偏った栄養摂取の是正、また、格差是正の観点から、改めて給食の役割について考える動きが出てきています。

文部科学省においては、平成17年に食育基本法が、平成18年に食育推進基本計画が制定され、今、学校教育の現場では、食育の観点から、郷土料理や地域産品の活用を通した学校給食の充実に向け、取り組みが進められています。

また、このような流れを受け、平成18年からNPO法人21世紀構想研究会主催により、地場産物の特色を活かした献立であることや、 子どもが喜び郷土愛を育む献立であることなどをルールとした「全国学校給食選手権」も開催されています(ちなみに昨年の第4回大会では、全国から1552チームが出場しています。)。

食事には、皆と向き合いながら、一緒に同じものを食べることの楽しさ、喜びもあると思いますが、だからこそ、給食は、大人になってからもノスタルジーとともに思い出されるものなのでしょう。

最近の学校給食では、食の多様化を反映した献立に対応するために、冷凍食品や各種レトルト食品を利用することも増えていると聞きます。利便性、効率性も重要ですが、学校生活の懐かしい思い出の一部となり得る給食がそれだけでは少し寂しい気もします。

他方、大人でも自分の住んでいる地域の郷土料理、農産品などについて意外に知らなかったりすることもあり、家庭でもあまり作られなくなった地域の伝統料理なども往々にしてあるかと思います。

給食を通して、子供たちが地域の農産品と出会い、その食文化について触れるともに、親世代も子どもの給食を通じて地域への関心を深めていく―。地域文化の再発見、再認識について議論されることが多い昨今、今後の学校給食には、多面的な役割が期待されていますが、もう学校給食を懐かしむことしかできない大人としては、地域の文化、伝統が盛り込まれた給食を体験できるこれからの小中学生がうらやましくもあります。

藤原和代
調査局
専門:地域振興、PFI


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