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2011/01

ベトナム語での交流を通じて

私事で恐縮ですが、何度かベトナムを訪れ、また日本にいるベトナムの方と交流する機会を通じて経験したことを、ベトナム語を学んでいる者の視点でご紹介させて頂きたいと思います。

ベトナム語は、日本人にとっては身近に感じることのできる言語であると思います。ベトナム語には、日本の漢字に対応する語が多いためです。例えば、ベトナム人の名字に多い「Nguyễn」は「阮」、女性の名前で「Hương」は「香」等というように漢字にあてはめることができ、漢字を知らないベトナム人でも自分の名前だけは漢字で書ける、と言って、実際に目の前で書いて下さる方もいらっしゃいました。そうでなくても名前の意味を教えてもらうと対応する漢字が推測でき、お会いした方のお名前を覚えやすい気がします。

アルファベットのような文字を使っているため、ベトナム語を学習していない人でもなんとなく読めそうな部分もあるかと思われますが、6つの声調があり、その記号がそれぞれの文字に付いています。この声調を正しく発音しなければ、現地の人はこちらの言いたいことをなかなか理解してくれません。その上、北部や南部といった地域によって発音の仕方や使う言葉が異なるものもあります。私は北部の発音を学んできたのですが、自分が学習してきた発音と違う地域に行くと、かなり聞き取りづらくなります。ベトナム語を学ぶ上ではこのような色々な難しさがありますが、特に難しいと思うのは、呼び掛ける際に使用する言葉の選び方です。

英語でいえば、I(わたし)やYou(あなた)などにあたる言葉が、ベトナム語の場合は自分と相手との関係や年齢によって選ぶ言葉が違ってきます。例えば、自分が相手よりも年下で相手が少し年上の女性の場合、自分のことはemといい、相手のことをchi(男性の場合はanh)といい、お互いに自分のことを話す際(英語での「I」に当たる言葉)も、それぞれem とchiという言葉を使います。そのほか、自分の親より年上の人に話かける場合、親より年下の人に話しかける場合、自分の甥・姪と同年代の子供に話かける場合などに応じた呼び方があって、それを場面に応じて適切に選んで話すのは外国人にとってはなかなか難しいところです。「相手に失礼のないように・・」などと考えてしまい、最初に話かける時どの言葉を使おうかと迷ってしまいます。

ベトナムは儒教の影響を受けている国と言われます。日頃接するベトナムの人々を見ていると目上の人を敬う姿勢が見られます。そうした文化的側面が、このように人との関係性を重視する言葉の使い方にも表れているのかもしれません。外国語を使いこなせるようになるのは容易ではありませんが、ベトナム語を学んでいるとその文化をより知ることのできる面白さも感じられます。

国際局
伊藤 友見


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