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2011/10

節電の夏を振り返る

東日本大震災後、義援金の次に日本人の多くが取り組んだのは「節電」ではないだろうか。

弊所でも「15%削減」を目標に、エレベーターの使用抑制、空調の温度設定(28℃以上)、電灯管球抜き取りなどの対策を行い、前年比で6月は36.5%、7月は31.0%、8月は30.2%、9月は37.7%の節電を達成することができた。

弊所の位置する関東地域では、震災直後からしばらく計画停電が実施され混乱をきたした経験もあり、さまざまな節電の工夫や冷感グッズが登場し、節電への取り組みは特に熱かったように思う。

家庭の場合、消費電力のおおよそ半分を冷房関連が占めるということで、エアコンの設定温度を上げる、すだれやよしず、ゴーヤなどを植える「緑のカーテン」によって日差しを和らげ室内の気温上昇を緩和させる、エアコンより電力消費の少ない扇風機(もしくはうちわ!)の使用を優先するといった対応により、家電量販店などで扇風機が一時は品切れになったりもした。
また、家では特に何もしてないという人でも、一歩外に出れば、電車は節電ダイヤで本数を減らして運行、車内や街の至る所で蛍光灯や電灯が間引き・消灯されており、エレベーターやエスカレーターは停止しているなど、消極的にでも何かしらの協力をしていたはずである。

各事業者や各家庭の節電協力により電力不足の夏を乗り切ることができ、副産物的な形で冷感グッズや扇風機などの需要に潤った業界もあり、電気料金が何割も節約できたという家庭が多くある一方、過度の節電による課題・弊害も見えてきた。
例えば
・街が通常より薄暗いためにひったくり事件が増加(逆に通常より自宅に早く戻る人が増えたために空き巣は減少)。
・街やオフィスが暗いことで気持ちが滅入り軽いうつ状態になる。
・製造業関係の操業日変更による介護・育児等への支障、家族と休みが合わなくなる。
・冷房の控え過ぎで乳幼児やお年寄りを中心に屋内でも熱中症になる。
・暑くて集中できず仕事の能率が下がる。
・エレベーターやエスカレーターの停止で、障害者や高齢者など本当に必要な人の使用も制限され、(物理的なだけでなく心理的にも)外出が困難になる。
・管球類の間引きにより通勤・通学時の読書などが視力低下・疲れ目と隣り合わせになる。
など大きなことから小さなことまで挙げだすときりがない。
その他、震災によるサプライチェーンの寸断から回復しつつあった自動車関連等の製造業においても「15%削減」が生産増のネックになったという声が聞かれた。

夏のピークを過ぎ、秋の声が聞こえてきた現在も、節電への取り組みは続いている。
外気温と室温の差が大きいためエネルギー消費量が大きくなり、夏以上に電力が必要となる冬が到来する前に、各取り組みについて今一度整理(今風に言うと仕分け)してみたらどうだろうか。

既に衣料品メーカーや家電量販店では冬の節電商戦が始まっている。家庭の場合、暖房については、厚着をする、保温性のある下着類を着る、湯たんぽや膝掛けなどを使うといった工夫で節電・省エネできる部分が大きい。

今のところは夏のアイディアが主だが、
政府の節電ポータルサイト「節電.go.jp(http://setsuden.go.jp/)」内の
節電アイディアボックス(http://ideabox.setsuden.go.jp/)では節電方法、グッズ、先進事例、失敗談などが投稿形式で募集され、公開されている。すぐに取り入れられるものもあり、興味深い。

冬は日が短い。安全や防犯、健康面も考慮した形で、無理をせず節電とうまく付きあっていく工夫が必要である。

間中敬子
ソリューショングループ
副主任研究員


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