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2012/06

アジアの中の日本

仕事や遊びでアジア各国へ行くことが多いのですが、初めて訪れた1990年頃と比べると日本と他のアジア諸国の関係が「大人と子供」から「大人同士」へ変わったと実感します。東アジア各国の経済水準が向上した部分も大きいのですが、これに加えてインターネットやグローバル化の影響もあると感じています。

アジア諸国の目覚ましい経済成長は御存じのことと思いますが、その一方で日本は「失われた20年」の状態にあった訳で、差は当然に縮まります。国際通貨基金の世界経済見通データベースによれば、1995年の日本のドル建てGDPは全アジアGDPの64%を占めており、日本は経済的に「圧倒的に突出した巨人」でした。同じ統計で2011年を見ると日本のドル建てGDPが全アジア諸国に占める割合は31%と半減しており、トップの座も36%の中国に明け渡しています。日本は引き続き一国でアジアGDPの3割を占める大国ではあるものの、感覚としては「アジアに何人かいる巨人達の一人」になったわけです。必然的に、アジア各国の日本を見る視線も「見上げる」から「対等」に変化しているのだと思います。

インターネットの普及も、アジアの人々の意識を大きく変えている一因と思います。情報が限られていた時代にはアジアで唯一の先進国である日本に実態以上の幻想を抱いていた人々が、インターネットでユーチューブにアクセスしたり、様々なニュースソースを活用することで日本や他の先進国の情報をリアルタイムで取得するようになり、「先進国の人も、我々と同じ悩みや欠点をもつ人間だ」ということを理解しつつあるように思います。フェースブックの会員数がアジアで最も多いのがインドネシアであることは有名ですが、他のアジア諸国でも若者を中心にインターネット普及率は目覚ましいものがあり、情報格差は縮小されたと言えるでしょう。

企業活動、資金、人の流れなどがグローバル化したことも見逃せません。アジア各国のショッピングモールに行くと、売っているものや提供されているサービスが世界共通化しつつあることを実感します。上の写真は東京、関西でも人気の職業体験型アミューズメントパーク「キッザニア」のインドネシア・ジャカルタ版ですが、メキシコで生まれて世界展開する同一の遊戯施設で日本の子供も他のアジア諸国の子供も同様に楽しむ時代になったということでしょう。興味深いのは、日本のキッザニアの入口(子供の国へ入国する空港)のスポンサーが全日空であるのに対し、インドネシア・ジャカルタのキッザニアのそれにはインドネシア国営のガルーダ航空ではなくマレーシアの低価格航空会社であるエアアジアがなっていることで、この点でも「グローバルな時代」を感じさせます。

残念なことに、年輩の方々を中心にアジア諸国を「見下す」日本人は未だに多く存在します。ビジネスにおいても、それ以外の交流でも、成長するアジアの人々と大人同士の関係を作ってゆけたらと自戒を込めて思う日々です。

近藤 浩正
インフラ本部
インフラ担当部長


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