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2012/11

しのぎを削るタイの日本食レストラン・専門店

タイでは日本食レストラン・専門店が数多く営業しており、訪問するたびに新しい店舗がオープンしている状況だ。
日本発のレストラン・専門店だけでも、大戸屋、モスバーガー、CoCo壱番屋、吉野家、ビアードパパ等数多くの有名店が進出しており、ジャンルも多様だ。また、最近では日本のラーメン店6店舗が集まった「ラーメン・チャンピオンズ」といったラーメンの専門店がオープンし、タイ人にも人気を博すなど、日本食の存在感は増している。

現地発のものを含めると、タイには実に1,246店舗(2010年時点:JETRO調査)の日本食レストラン・専門店があると言われているが、その数は増加の一途を辿っている(2007年:745店、2008年:840店、2009年:1,084店:JETRO調査)。タイの首都バンコクだけでも800店舗以上あり、三食ともに日本食で過ごすことが十分可能だ。
もともと日本食レストラン・専門店は、現地に駐在する日本人及びその家族を対象として事業を展開していたが、1980年代~90年台に「FUJI」、「ZEN」、「OISHI」といったタイ資本のタイ人向け日本食レストランチェーンが設立されたことを機に日本食ブームが発生し、現在ではバンコクだけではなく地方でも日本食レストランが数多く営業している。 実際に日本食レストラン・専門店に入ってみると、庶民的なお店から高級店にいたるまで、タイ人の占める割合が高いことに驚かされ、多くの日本食レストラン・専門店はタイ人によって支えられている状況だ。
一方味はどうであろうか。海外における日本食に対して思い浮かべるイメージと言えば、形は日本食であるが味付けは現地風にアレンジされた日本食「風」なものではないだろうか。確かに、そうした日本食「風」のものを提供するレストランは数多く存在するし、現地の人の舌に合うように創作されたジャンルの一つであり否定するものではないが、最近では日本人が納得するだけの味を提供する店が確実に増加している。実際に、日本発のレストラン・専門店においてタイ人比率が高いということは、タイ人の間でも「本物」(タイ風にアレンジされていない)の日本食を求める傾向が高まっているからであろう。

今後さらなる経済成長に伴い増加するタイの中間層、日系企業の海外展開加速に伴う日本人在住者の増加から、タイの日本食市場はまだまだ拡大する余地が高い。
このように拡大する市場をにらみ、日々オープンする日本食レストラン・専門店であるが、確実に競争も激しくなってきている。利用者としては選択肢が増えることは喜ばしいことであるが、次回訪タイした際には、お気に入りのレストランが未だ営業しているのかどうか、気になるところである。

篠宮 正義
国際本部
主任研究員


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