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2013/01

国内のコンサート市場

音楽業界ではCDの販売低迷が続き、新たな収益の柱を模索しているようだ。
学生時代からCDを購入しコンサートによく行っているが、業界事情は知らないことが多いので少し調べてみた。
CDの生産額は平成10年の5,878億円をピークに減少傾向となり、平成23年には2,085億円と約3分の1までに縮小した(日本レコード協会 HP)。娯楽の多様化によりCDへ使える金額が減少したり、違法ダウンロードの増加等が背景にあるようだ。一方で、国内のコンサート市場規模をみると、平成10年の年間売上高は710億円であったが、その後は、公演数と入場者数ともに増加を続け、平成23年には1,596億円となった(ACPC HP)。
CD全盛期の時代は、コンサートはCDを買ってもらうためのプロモーションの場であり、コンサート単体が赤字でもCDを販売して収益を確保していた。しかし、現在はCDが売れないため、コンサートそのもので収益を生み出すように変化している。コンサートグッズやDVDの販売、有料チャンネルやインターネットでの配信等に力を入れている。多くのアーティストがコンサートツアー終了後にコンサートの模様を映像作品として発売しているが、DVD等の音楽ビデオ生産額は平成14年の376億円から平成23年には701億円と増加している(日本レコード協会 HP)。新サービスとして、その日のコンサート音源をコンサート終了直後にCDとして販売することも始まっている。
アーティストの中には、CDではなくコンサート主体の活動をしていくと公言している人もいる。以前は、アルバムの発売に合せて全国ツアーをしていたが、今は、アルバムの発売がなくても全国ツアーや年末ライブをするアーティストが増えた。また、夏フェスに代表されるような多数のアーティストが集まって行うものも増えた。
それでは、オーディエンスの視点からみればコンサートの魅力とはどこにあるのだろうか。好きなアーティストを間近で観られて演奏のみならず演出やMCを楽しめる、見知らぬ人達と同じ時間と場所で興奮と感動を共有することができる、日常生活を忘れて音楽に浸ることができる等がある。また、全国ツアーであれば、会場によって盛り上がり具合が違ったり、ツアー初日と最終日では演奏の完成度も大きく向上しており、ツアー中に複数の会場に足を運んで楽しむこともできる。
レコード、CDや携帯音楽プレーヤー等の普及によって、音楽はいつでも、どこでも手軽に楽しめるものとなった。しかし本来、音楽は生の演奏を観て聴いて体感して楽しむものであると思う。そういう意味では今の音楽業界は原点回帰の時代であり、リスナーとアーティストとの距離が近くなってきている。音楽ファンとしては、今後もより良い音楽が創作され、思い出に残るコンサートが数多く催されることを願っている。

廣瀬 洋一
ソリューション本部
副主任研究員


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