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2013/02

公共交通機関と効率の悪循環

仕事で茨城県のほぼ全ての市町村を訪問することになった。茨城県はなじみの深い県であるが、通り過ぎるだけだった市町村がほとんどであり、ひとつひとつ訪問できることを楽しみに感じていた。

公共交通機関を利用することを前提に訪問の行程を計画している段階で、違和感が生じた。公共交通機関だけでは効率よく訪問することができない。1日に3~4カ所訪問するためには、最初と最後の市町村と東京の間は電車で移動し、市町村と市町村の間はタクシーで移動しないと回りきれないのだ。

改めて時刻表で鉄道の路線図を確認した。大部分の鉄道は大都市と地方都市を結ぶためにつくられている。関東地方では、もちろん東京を中心に放射線状に鉄道が張り巡らされている。東京を極とする地球儀の経線のようにも見える。

このため、茨城県内の鉄道の駅がある市町村へは容易に行くことができる。東京を午前中の早い時間に出発すれば、待ち時間も少なくスムーズに乗り継ぎができ、午前中に1カ所は必ず訪問できる。

ところが、地方都市と地方都市を結ぶ、地球儀の緯線とも言える鉄道はあまり発達していない。東京から遠ざかるにつれ、茨城県の路線図には空白が目立ってくる。鉄道では行かれない市町村が多数あり、これらを訪問するのはなかなか難しい。

茨城県内では、鉄道の駅から近隣の市町村をつなぐ公共交通機関は路線バスであるが、お世辞にも使い勝手がよいとは言えない。最大のお得意様の高校生の通学時間以外は、ほぼ走っていないと言っても過言ではない。

また、インターネットで検索できる地図には、なぜか路線バスの停留所の名称は記載されないため、目的地の最寄りのバス停を事前に調べるのも一苦労である。

やはり、残された移動手段はタクシーしかない。公共交通機関の不便さを言い訳に、前提をあきらめ、電車→タクシー→タクシー→タクシー→電車という行程で市町村歴訪を開始した。

公共交通機関、特に路線バスはなぜこんなに不便なのか。

茨城県在住者は、日常の移動は自家用車がほとんどである。たまに経線に当たる鉄道に乗ることがあっても、最寄り駅へは路線バスではなく、自家用車で向かう。路線バスを利用する人は少なくなる一方で、それに従って本数が減り、さらに不便になっていくという悪循環に陥る。

学生のころ、茨城県の面積は全国24位と中間であるが、可住地面積は全国4位と広く、人のいる面積が広すぎて公共交通機関が発達しきれないのだと冗談で語りあったことがあるが、公共交通機関は利用者減少の悪循環に陥って、不便になったのが実情であろう。 効率よく訪問するためという理由づけのもと、自分で組み立てた行程をこなしてはいるが、タクシーの利用があまりにも多いため、茨城県の公共交通機関が陥っている悪循環を自ら手を貸して加速させているのではないかという後ろめたさを感じている。
(参考:統計でみる都道府県のすがた2012 総務省統計局)


関東鉄道竜ヶ崎線(佐貫09:34→竜ヶ崎09:41)

國安 陽子
地域本部
主任研究員


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