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2014/02

イチゴ農家について

私の実家は栃木県であり、イチゴ農家を営んでいる。地元の友人にもイチゴ農家を継いでいるものが少なからずいる。その友人や実家でイチゴ農家を継いだ兄と話をしていて感じることがある。
最近、若い世代のイチゴ農家が増えているということだ。

日本の農業従事者の数が年々減少しているのは広く知られているが、私の地元に限ってみると、イチゴ農家を廃業したという話はあまり聞いたことが無い。後継者がいないということもなく、みな当たり前のように農家を継いでいるように見える。

こうした背景には、一般的に言われるように、イチゴは収益性の高い作物であるということが上げられる。
若干古いデータではあるが、農林水産省の平成19年度の農業経営統計調査(ⅰ)によれば、栃木県のイチゴ農家の一戸当たりの農業粗収益は13,561千円、農業経営費は、7,619千円、農業所得は5,942千円であった。(1 戸あたりの家族就業者数は2.97人)
平成19年度の全国平均世帯所得は5,562千円(ⅱ)ということから見て、イチゴ農家の世帯所得5,942千円というのは、決して低い水準ではない。また農業粗収益に対する農業所得率は44%である。稲作は24%であることから見て、収益性も高いと考えられる。
また、ハウス栽培であるイチゴは比較的収穫量が安定しており、クリスマスシーズンには例年需要が増大し価格が上昇するなど、一定の年間収入を見込むこともできる。
こうした収入面から見て、イチゴ農家を継ぐという選択をする人が多いものと考えられるだろう。

一方で、イチゴの栽培は初期投資の負担が大きいといわれている。いちご研究所(栃木県農業試験場内に平成20年10月開設。全国で唯一のイチゴに特化した研究所)では、新規参入でイチゴ農家を始める際の収支シミュレーション(ⅲ)を行っており、シミュレーションの結果では、自己資金で設備投資を行う場合で20,000千円、借入で設備投資を行う場合は手元運転資金が6,000千円必要であると想定している。
個人でそれだけの資金を準備するのは大変なことであり、イチゴ農家は簡単に始められるものではないことが分かる。

若くしてイチゴ農家を継いだものたちはみな意欲を持って農業を行っており、規模の拡大や設備投資を積極的に行っている。それに伴い売上も伸びており、億を超えるような売上を計上するイチゴ農家も出てきている。
そういった姿は非常に頼もしく思え、日本の農業におけるビジネスモデルになり得るのではないかとすら思える。
ただ、積極的な経営が行えるのは、先代が築いた基盤がであってこそだということを、たまには考えてみても良いと思う。



ⅰ農業経営統計調査 平成19年産品目別経営統計(2007)
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001061833

ⅱ『平成24年国民生活基礎調査の概況』厚生労働省(2013.7)
  http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa12/index.html

ⅲ『いちご新規参入の経営試算』栃木県農業試験場研究成果集第31号(2013.3)
  http://www.pref.tochigi.lg.jp/g61/seika/documents/03120.pdf


佐藤 淳
調査本部 PPP推進部
副主任研究員


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