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2014/03

ワーキングマザー雑感

本年度、様々な分野でグローバルに活躍する方々に、大学で講義をしていただくための運営のお手伝いをさせていただく機会に恵まれた。同講義では、金融業、製造業、流通業、メディア、NGO等、幅広い分野の第一線で活躍している方々をお招きし、業界動向や現場の状況などをお話いただいた。

私も、コーディネーターという立場ながら、存分に授業を楽しませていただき、充実した時間を過ごさせていただいた。

なお、13名の講師選定にあたり、ジェンダーバランスは全く考慮しなかったものの、結果として、6名の女性にご登壇いただいた。うち4名はワーキングマザーとして、子育てをしながら、其々の分野の第一人者として高いパフォーマンスを上げられ続けてきた「凄母」な方々である(講演者の一人は、東洋経済新報発行の「凄母」でもインタビューされていた方である)。私もワーキングマザーであることもあり、凄母の皆さんの葛藤や、仕事への信念や姿勢、仕事と育児のバランスのとり方、育児中の時間制約、物理的制約(特に海外出張対応)の克服方法等を伺い、非常に共感し、また大きな刺激を受けた。


政府が現在検討・実施している女性・子育て対策(保育園増設、育休の延長等)は、目先の問題解決には役立つと思われる。保育園に子供を入れることさえ出来れば、就業時間中は、諸外国に比べ、決して高くない負担額で、質の高いサービスが提供される保育園に、安心して子供を預けることが出来る。

一方で、子育て対策については、現在の子育てにおける社会通念である、母親が子育てに関するコストの大半以上を負う、という前提条件から、考え直す必要があるのではないかと思う(ここで言う「コスト」は、経済的な負担という意味ではなく、子育てにかける時間や、精神的なコミットメント等を含めた、広い概念でのコストである)。実際のところ、母親だけが育児をするわけではない。つまり、子育て対策は、女性「が」直面している問題に対する直接的な解決策を提供するだけではなく、女性も男性も社会も子育てコストを負うという意識改革を進めていく必要があるのではないかと思うことが多い。


凄母の一人の方が、「子供を預けてまで仕事をするのであれば、楽しい仕事をしなければ」とおっしゃっていた。子供を保育園に預けることが出来、家人とも家事分担が出来、会社にも現状を斟酌してもらっている恵まれた状態にいたのに、日々、目の前の諸制約を乗り越えられず、葛藤の中にいた私にとっては、非常に衝撃的な言葉だった。今後は自分も仕事を楽しむ、ということを忘れず、また、男女問わず、子育て中の人々が仕事を楽しめるような環境作りのために、少しでも尽力出来たらと考えている。



武谷 由紀
国際本部 国際第二部
主任研究員


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