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2014/08

安全・快適な道路整備を期待して

近年公営住宅をはじめとし、上下水道、橋梁、トンネル等多くのインフラ施設が、高度経済成長期である1960年から70年代の施設整備以降約50年が経過し、 その老朽化が課題となっており、国、自治体から産業界も含め、今後の持続的なあり方に向けた検討が活発に行われている。個人的にもこれまで多くのこうした課題の検討に加えさせて頂く機会を頂き、分野を問わず各施設の動向から目が離せない状況にあるが、今回は2020年の東京オリンピックを踏まえ注目が集まっており、自身の利用頻度も高い首都高速道路を取り上げてみたい。

国内の高速道路を管理する各高速道路会社は、「民間にできることは民間に委ねる」との政府の方針を受けて、2004年6月2日に成立した高速道路株式会社法及び日本道路公団等民営化関係法施行法に基づき、それまでの各道路公団に代わる新しい組織として設立され、高速道路の整備及び管理を行ってきており、高速道路における株式会社化を通じた民営化が成立した。一方で、それまでの公団が抱えていた巨額の債務の取り扱いもあり、各高速道路会社の設備投資及び借入債務については、新規に投資されるものも含め、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以後「機構」)へ重畳的債務引受を通じて移行され、各高速道路会社は収支の範囲で機構へ賃貸料を支払い、機構は当該収支の中で2006年から2051年度までの45年間で各自治体からの出資金を含め償還する計画を策定した。当該スキームはJRの民営化等に比し、道路会社自体の自立性の観点等から、議論が残されている点もあるが、輸送車両等を持つ鉄道に比べ、目に見えて提供されるサービスの範囲が限られる高速道路としては、限界的な形だったものと思われる。

以降、現段階の機構の債務残高は、計画以上に削減されている状況にあるが、当該計画が毎年見直される中、利用料は縮小傾向にありながらも、各社からの引受債務は増加傾向にあり、実体的な削減の原資は、実体に基づき見直される支払金利の影響が大きい状況である。加え、冒頭の老朽化問題によって懸念される大規模更新費用については、各社の現状の45年計画には本格的に組み込まれておらず、特に構造物が多く、修繕負担の多い首都高速においては、数千億~兆円単位の金額が試算されており、負担の大きい課題となっている。首都高のこれらの構造物は、日本橋の問題等、歴史的景観との関連で批判されることもあるが、限界的な条件の中で設計され、首都圏の主要交通網を形成している当該施設には、別の意味での歴史的意義が認められるのではないか。

国内人口減少や、免許保有率の低下傾向等の話題はあるが、首都高速における定番の日時や時間帯の渋滞は引き続き厳しい状況にあり、2020年とはいえそれまでにこれらの課題を解決し、迂回のための環状路の整備が進まない中、一定の交通量を維持しながら修繕を進め、スムーズに流れる安全な首都高速を整備することは容易ではなく、関係者の苦労が伺われる。財源の問題は深刻だが、一日も早く渋滞の少ない安全な道路が出来るよう、引き続き期待したい。


佐久間 英雄
地域本部
環境・防災部長


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