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2014/10

「時短勤務」から見えてくるもの

私はいわゆる「時短勤務」である。弊所では、私を含め、近年出産をする女性社員が増え、それまでに社内でも数人であった働くお母さんは、今や各部署に1人はいるという状況になった。それに伴い、「時短勤務」も増加している。

「時短勤務」という期間において、私が目指したいのは、「限られた時間の中で成果を出す、ワーク・ライフ・バランスのとれた社員」である。しかし、一方で、定時より早く帰宅することで、フルタイム社員に負荷がかかっていることも感じている。今後のキャリア形成も含めて、どのように仕事をすればよいのか、日々悩んでいるところである。
私に限らず、働くお母さんはそれぞれ色々な悩みを抱えている。私のママ友の中でも、「時短だから仕事を振ってもらえない」という人、「出世に不利になるからそもそも時短はとれない、制度もない」という人、色々な形の悩みがある。
フルタイム社員同様またはそれ以上のスペックで働くか、働けないなら戦力外という2択の中で、肩身の狭さとジレンマを感じている働くお母さんたちが、勇気と自信をもって働ける環境にするためには、何が課題になっているのだろうか。

1点は時短勤務者の活用方法(マネジメント、キャリア形成)のあり方があげられる。
東京大学社会科学研究所は、平成25年度の調査で、時短勤務の増加と利用期間の長期化は、「(1)利用者が働く職場におけるマネジメント(業務管理と働き方の管理)と(2)利用者のキャリア形成や仕事への意欲の維持」において様々な課題をもたらしていると分析(*1)としている。
具体的には、「(1)業務管理と働き方の管理」については「短時間勤務制度を利用している従業員に割り当てる仕事の切り出し方(仕事上の目標設定の方法など)、短時間勤務とフルタイム勤務の従業員の間の業務配分、短時間勤務者の仕事をカバーすることで業務が増大したフルタイム勤務の従業員への対応、短時間勤務者の働きぶりの評価方法」等があげられており、「(2)利用者のキャリア形成や仕事へ意欲の維持」については「短時間勤務者に対して職業能力に見合った仕事を配分できない場合には、仕事経験が制約され、能力開発やキャリア形成上のマイナスとなるだけでなく、仕事意欲も低下すること」があげられている。

もう1点は「効率性」についての考え方・評価のあり方である。
時短勤務者にとって、「いかに効率的に業務をこなしていくか」は非常に重要である。しかし、「効率性」に対する評価は社会全体でも進んでいないようである。
内閣府が平成25年に行ったワーク・ライフ・バランスに関するアンケートによれば、「企業の多くは、「残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること」や「自分に与えられた役割を果たし、付与された有休のほとんどを消化すること」は、人事評価では考慮されていない」(*2)ということである。多くの企業では長時間労働を肯定的に考えているのである。

今後介護等も含めて増加するといわれている時短勤務。こうした多様な働き方を前提として、どのように不公平感なく業務を分担していくのか、また、時短勤務を「キャリアの中断」としない人材育成のあり方が企業に問われているだろう。

*1 東京大学社会科学研究所「短時間勤務制度利用者の円滑なキャリア形成に関する提言~短時間勤務制度の運用に関する実態調査」(平成25年11月)

*2 内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」(2014年5月)


前田 真理子
調査本部
研究員


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