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2015/02

マラソンブームの行方

趣味はマラソンである。友人らと集まり飲み歩く以外趣味のなかった私が走ることの楽しさを知ったのは、 30代に入ってからだ。初めてマラソン大会に参加した際はたいしたトレーニングもせず挑んでしまい、膝が言うことを聞かなくなってしまったが、沿道の声援が何とも耳に温かく、疲れよりも爽快感のほうが大きかった。初期投資がかからず身一つで始められるマラソンの人気は、依然として高い。今やワールドマラソンメジャーズに加入し、世界の主要なマラソン大会のひとつとなった2月の東京マラソン。去年は3万6千人が出走、沿道に駆け付けた人数は100万人超とも言われ、同時開催の東京大マラソン祭りにも43万人が参加するなど、その経済効果は 100億円とも言われている。この東京マラソンを筆頭として、大阪マラソンや神戸マラソン、京都マラソンなどの都市型マラソン大会が出現し、様々な市場を巻き込んでいる。私が昨年出張した都市を調べてみると、福岡県・名古屋市・新潟市などの各都市にも年間何本もマラソンイベントがあった。(加えて小生の出身地である栃木県足利市には尊氏マラソン大会なるものがあることを加筆しておきたい。)

私は小さな大会専門であり、参加申し込みをしたマラソン大会で抽選漏れの経験はないが、東京マラソンの抽選倍率は10倍とも言われている。その、抽選にあぶれた人たちで立ち上げたイベント、「シャルソン」なるものがいま熱い。 SNSなどの「ソーシャル」と「マラソン」を組み合わせたもので、スタート地点もコースもなくゴール時間まで好きに町を走るのみである。「神田シャルソン」では神田明神や近くの名所を訪れ、写真をフェイスブックに載せるなどSNSで発信・拡散することで盛り上がろうというわけである。給水スポットは地元の居酒屋などの協力で、水や酒、他にも様々なものが提供される。これはフランスのメドックマラソンという、ワインが振る舞われるマラソンをイメージしているものであるという。町の良さを体感しながらSNSで繋がっていく、その集客力にも注目が集まり、 JR東日本グループが協賛した例もある。シャルソンは現在全国的に実施されており、新たな町おこしのブームとなる予感がしている。

マラソンブームはとどまる所を知らず、青森県鯵ケ沢町(あじがさわ)には2013年、世界初のマラソン村が誕生した。世界自然遺産である白神山地の地で、観光とマラソンを組み合わせて、地域活性化を目指している。このような地方小都市でのマラソンイベントは地域住民にとっても、地域外からの参加者の目を通じて自らの地域の姿を再発見、再確認する機会になると思う。様々な面から効果が期待されるマラソンイベントが各地で増えているが、より活性化につなげていくためには、シャルソンのような新しい発想が必要ではないだろうか。

一方で、マラソンブームの裏で発生している弊害もある。それは翌日の仕事におけるパフォーマンスの低下、ひいては生産効率の低下である。「マラソンランナーの疲労」による意識調査によれば、ランナーの約35%がマラソンの疲労によって翌日の仕事や学校に支障が出たと回答しているようであるが、小生の場合はそれがマラソンに起因しているのか、元来の能力によるものなのか、特に考えないようにしている...。


大山 博己
調査本部 PPP推進部
副主任研究員


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