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2015/03

ライブによる地方活性化の可能性

私はよくライブに出掛ける。特定のアーティストのみではなく、大勢のアーティストが集まるフェスも含め、月1回のペースで出かける年もある。全国ツアーを行うアーティストのライブでは、近場の会場だけでなく、離れた地方にも足を運ぶことがある。

近年、音楽業界はCD不況と言われており、1990年代をピークに2000年代以降、CD売上は激減し、レコード会社の収益減少の大きな要因となっている。CDの年別生産金額をみると、ピークだった1998年の約6千億円から年々減少しており、2013年には約2千億円と3分の1にまで減少している。原因としてはネット配信、CDレンタルの普及、違法ダウンロードの増加があげられる。ネット配信のみを考えればレコード会社の事業としてはCDからネット配信へと販売形態が変わっただけと考えられるかもしれない。しかしネット配信は利益率がそれほど高くなく、加えてCDレンタルの普及、違法ダウンロード増加の要因もあるため、収益の柱としては考えにくい状況のようである。では、現在レコード会社はどのように利益を上げているのだろうか。実はCDの売り上げが減少する一方で音楽ビデオ、ライブの市場規模は増加している。2003年の音楽ビデオ生産金額は約564億円であったが、2013年では約720億円となっている。また、ライブの動員数、売上金額をみると、2003年は1,818万人の942億円であったが、2013年では3,885万人、2,318億円と2倍以上になっている。音楽ビデオにはミュージックビデオのみではなく、ライブビデオも含まれている。ライブビデオを見ることでライブに行った経験のある人は再度ライブを体感したいと思うだろうし、ライブに行った経験のない人にとってはライブに初参加するきっかけになっているのかもしれない。CD不況と言われていても日本国民は音楽に興味がなくなってしまったわけではなく、昔よりも手軽に音楽が手に入る時代になったからこそ、臨場感のあるライブで生の音楽を体験したいという需要が増えてきたのかもしれない。

地方でも会場によっては数万人規模のライブが行われる。そのような大規模のライブでは通常運行の公共交通機関では対応しきれないため、会場へ向かうための臨時の電車やバスが当然のように出ており、経済効果が数億円のライブも行われている。そのようなライブが同会場でアーティストを変えて定期的に行われているため、地方の経済にも大きな影響を与えていることは間違いない。

今後更に地方でのライブを活性化させるためには、施設の問題がある。大物のアーティストを呼べるだけの広い会場がないといった問題や、あったとしても公共施設で使用制限が厳しく、アーティストに敬遠されてしまうという問題だ。

私が地方のライブに行くときは泊まりがけで観光も行うことがある。時にはライブ会場に飲食ブースがあり、その地域の名物を出展している場合もある。他地域から訪問客が大勢来るこのような機会を今以上に増やすべく、地域とレコード会社とアーティストが一緒に考えていけたらと思う。

<参考HP>
一般社団法人 日本レコード協会
一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会


荒川 貴之
社会インフラ本部
公共マネジメント部
副主任研究員


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