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2015/07

温暖化対策の意識について

先日のG7サミットにおいて、政府は国内の温室効果ガスの削減目標として、2030年度に2013年度比で26%削減する案を発表しました。本年末にはパリでCOP21が開催され、2020年以降の温暖化対策に関する枠組みづくりがされる予定となっており、日本の動向も世界から注目されています。

日本は世界で5番目のCO2排出国(2012年値)であり、国内の排出量は2009年度に一時大きく減少に転じたものの、再び増加しています。アメリカや中国といった大国が削減義務を負っていない現状において、気候変動という全球的な問題に日本一国の努力だけでは限界がある、との見方もありますが、電源構成の問題も含めて長期的な温室効果ガス削減の計画を立てることには重要な意味があると言えるのではないでしょうか。

ところで、部門別に国内のCO2排出量をみると、産業部門の排出量は長期的には減少傾向にあります。リーマンショック等の経済状況の変化に起因するところは大きいですが、日本の省エネ・環境技術が高い優位性を持っていること、また、その努力を維持していることの成果もあると考えられます。では、国全体の排出量を押し上げている要因はと言うと、一つはオフィスや家庭を含む民生部門の増加にあります。

日本の部門別CO2排出量の推移*1
(間接排出量)

2011年度からの3年間における民生部門の排出量は、産業部門を上回って推移しています。一般的に民生部門では、省エネ・環境対策に関してコストメリットを感じにくい等の理由から、新技術・機器の導入が進みにくいことが課題の一つに挙げられます。このことは他方で、人々の意識の変化がこの部門の排出量削減に効果が期待できることも示しています。もちろん、現在の電源構成がCO2排出係数の比較的高い火力発電中心になっている点は考慮しなければいけませんが、個々人の心がけにも大きな意義があります。

本年3月に民間調査会社が発表したレポート*2によれば、「原子力発電のリスク」や「電気料金の値上げ」といったテーマに比べ、「温室効果ガスの排出量拡大」については相対的に関心が低いという結果が示されました(それぞれ、関心度83%,82%,65%)。もっとも、6割以上が関心があると回答しており、人々が一定の関心を寄せるテーマだと言えますし、省エネ意識という観点では、身近なところでもクールビズの定着等、特に夏場においては年を追うごとに認識が高くなっているように感じます。実際は、省エネと温室効果ガス削減の間の意識には、ある種の乖離が生じているかもしれませんが、その結びつきはますます高くなっていますし、温室効果ガスの排出と個々人の行動が密接に関係していることを、生活の中でも意識したいところです。

7月からは政府が「COOL CHOICE」と銘打って新たに運動を展開するそうです。窮屈なだけの温暖化対策でなく、意欲を持って取り組むことができ、むしろ快適に過ごせるように制度や習慣を柔軟に変えていくことが望まれます。


*1 温室効果ガスインベントリオフィス,日本の温室効果ガス排出量データ(1990-2013年度確報値)より作成
※業務その他部門と家庭部門を民生部門に合計

*2 トレンド総研,「電力・エネルギー問題」に関するレポート
(参考HP)全国地球温暖化防止活動推進センター


高平 洋祐
社会インフラ本部
インフラ部
副主任研究員


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