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2015/09

ストレス、成敗!

今春から殺陣の稽古を始めました。
元々小さい頃から時代劇が大好きで、松平健「暴れん坊将軍」、高橋英樹「桃太郎侍」、加藤剛「大岡越前」、西郷輝彦「江戸を斬る」、大川橋蔵「銭形平次」、そして中村吉衛門「鬼平犯科帳」等、激しくも美しい立ち回りと決め台詞の世界に長く魅せられていましたが、今回『観る側』から『演ずる側』へ転換したのは、第2の人生を見据えて長く続く楽しい趣味を持ちましょう、と、おじさん向け研修で勧められたことがきっかけでした。
日曜の夕方、都内の住宅地の一角にある道場で、裂帛の気合とともに重い木刀で斬りかかる袴姿の男性に対し、すらりと身を交わし、袈裟切りを見舞う袴姿の女性。上級者にとっては日常の稽古の一コマですが、繰り出す連続技を身近で観る迫力は格別です。まだ初心者の私は、まずは足さばきの習得から。継足、踏足、薙足等、殺陣の基本となる動きを学んでいます。ただ、稽古終盤、鞘付の木刀を手に抜刀・真っ向斬り・納刀の一連の流れを、稀にスムーズに終えることができた時には、講師の方からお褒めの言葉を頂き、得も言われぬ充実感に包まれます。

さて、この殺陣ですが、将来の日本を語る上での重要な3つのキーワード「インバウンド観光」・「地域活性化」・「女性活躍」にも大きく関わっていることはご存知でしょうか?
「インバウンド観光」:日本文化の象徴でもあるサムライを体現する殺陣ですが、外国人観光客に非常に人気を博しているようです。最近のインバウンド観光は、買い物や神社仏閣、景勝地等の観光地巡りに加え、体験型観光も盛んですが、大阪にある「Quick SAMURAI」では礼から始まり、殺陣の基本動作から日本語のセリフまで練習し、最後は立ち回りのシーンを体験するというまさに体験型の訪日外国人体験プログラムを創設し、昨年は32か国1,000人以上の外国人が参加したとのことです。また、ミラノ万博でも、三重県伊賀市が出展した「伊賀流忍者の里」で行われた殺陣演武には多くの来場者が詰めかけたと言われており、殺陣の魅力は、サムライへの想いを背景に外国人を魅了しているといっても過言ではないでしょう(「ラストサムライ」の渡辺謙の演技が彼らの脳裏にあるのでしょうか)。
「地域活性化」:地域を盛り上げるイベントとして、日本には古来より祭りがあります。神社に祀られる神様を祭神とする古式ゆかしい祭りもあれば、近年になって創設されたイベント性の高いお祭りもありますが、歴史的にサムライの存在感が強い地域においては、武者行列を始めとする、武を顕彰するお祭りも盛んです。例えば伊達政宗を藩祖とする仙台藩のおひざ元、仙台で行われる仙台青葉祭りでは、山鉾巡行・すずめ踊りに加えて殺陣演武も行われています。また、新撰組ゆかりの日野市では、土方歳三を始めとする新撰組隊士を称えるひの新撰組祭りが行われていますが、こちらでは殺陣演武も目玉イベントになっています。近年の「日本刀」「歴女」ブームも相まって、こうしたお祭りで殺陣演武が注目される機会はますます増えるかもしれません。
「女性活躍」:近年の殺陣ブームを支えているのはまさに女性の方々です。重い木刀を交えて行う殺陣は常に緊張感が求められるので、自ずと姿勢は良くなりますし、日常生活ではまず行わない「刀で人を斬る動作」は、日頃使わない背中等の筋肉にも刺激を与え、シェイプアップ効果も期待できると言われています。実際、現在通っている道場の約30人の生徒さんのうち、約8割は女性の方々ですし、皆様いずれも凛とした雰囲気をお持ちです。

憧れで始めた趣味であるにも拘わらず、このように仕事に関係する「インバウンド観光」「地域活性化」「女性活躍」という課題との関係性に思いを至らせてしまうのは、我ながらやや貧乏性のそしりは免れませんが、考えようによっては一石三鳥。これからも地道な努力を重ね、上達した暁には、殺陣が好きな外国人観光客との交流、殺陣演武への参加を通じた地域の祭りへの参加等、ささやかながら「インバウンド観光」「地域活性化」という課題解決に、第2の人生でも具体的に貢献したいと考えています。
とある稽古の日。どうしても、袈裟切りの木刀の軌道が定まりません。講師の方から一言頂きました。「じゃあ、嫌いな人を斬るイメージで木刀を振ってみて下さい」その刹那、木刀一閃、おかげで綺麗な軌道を描くことができました。講師の方からも過分のお褒めが。
まさにストレス、成敗!です。
(尚、文中の俳優の方々のお名前は敬称略とさせて頂きました)


片岡 明
ソリューション本部長
執行役員


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