コラム

バックナンバー

2018/2

顧客の選別

日本政府観光局によると、日本を訪れる訪日外国人旅客数は2,869万人を記録し、日本政府観光局が統計を取り始めた1964年以降最多となった。訪日外国人旅行消費額は5年連続で過去最高額を更新し、初めて4兆円を突破した(2018年1月現在)。

今年1月の安倍内閣総理大臣の施政方針演説では、観光促進税を活用し、瞬時に顔を認証して入管審査を通過できるゲートを整備するなど、観光先進国にふさわしい快適な旅行環境の整備を行うとしている。観光促進税とは、出国者から1,000円程度を徴収するもので、これにより年間約400億円の税収が見込まれている。観光振興のために新税の創設により新たな財源の確保にふみきった点は評価できる。

観光には戦略、財源、人材が非常に重要であり、地域の戦略策定や調整を行う組織をDMO(Destination Management Organization)と呼んでいるが、現在100を超えるDMO候補法人が観光庁に登録されている。DMOに求められる役割は多様であるが、今後の重要な課題の一つは地域毎に最適な入込客数と消費額の検討であろう。観光客の受入れ体制には限界があり、地域住民が生活をしていることを忘れてはならない。AIを活用したとしても受入れ可能人数の限界を超えた場合、評判の低下や観光客の減少をまねくことが想定されるため、何らかのコントロールが必要である。

価値は共創するものであり、地域と観光客とで地域の価値を高めていくことが消費額の増加につながる。戦略を策定し、地域の価値を高める観光客を選別していくことが、今後のDMOに求められる重要な役割の一つであろう。



生田美樹
地域本部
主任研究員


バックナンバー


ページトップへ